あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
潤った瞳から涙が溢れ出す。
悲しいのではない。幸せの涙。
覚えていてほしい。
あの日、たくさんの人が、誰かの家族が亡くなったこと。
深い傷を負って残された人がいること。
そして、少ないながらも、理不尽なあの日の影響でいじめにあってしまった人もいることを。
光希歩もきっと、同じ思いを持っているだろう。
俺たちは、それを伝えていく。
そしてまた前に進む。
俺は鞄からハンカチを取り出して、光希歩の雨を止ませた。
そして、次に虹がかかるように。
俺は伝えます。
「これから、もっと茨の道が待ち受けてるかもしれへん。けど…ずっと、光希歩の隣で支えてもいいですか?」
ザァー…と波の音が、二人しかいない海岸にどこまでも響く。
息を吸って、真剣に、初めてこの言葉を放った。
「光希歩のことが好きです。俺と、付き合ってください」