あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

「ヒント!ヒント欲しい!」

私が本当に欲しいものなんて、決まってる。

物なんていらない。

「え〜それは翔琉が考えてよ」

困った顔がまた可愛い。
翔琉は全部顔に出るから本当にわかりやすい。
だから、下で会ったらすぐ分かるだろう。
私に対しての感情が。

きっと今までと変わる。

きっと去っていく。

嫌われて、去られるなら今だ。

これ以上関わってしまったら、私はもう、下に下りるなんて勇気は出てこないだろう。

ごめんね翔琉。

私は翔琉を初めから利用してたんだ。

実験台として。


だからまた、翔琉で、他人が私に向ける目を再確認する。
試すんだ。

この数ヶ月間、少しは楽しかったよ。

私が生まれた日。
きっと翔琉に会う最後の日となるでしょう。

だから、先に言っておくね。

「帰るね。バイバイ」

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