あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

真実


***

《キーンコーンカーンコーン…》

壁にかけられた時計から、設定された機械音が鳴った。
午後九時半を知らせるそれを聞き、生徒がゾロゾロと塾から去っていく。

今日は俺もその中に紛れ、混雑している生徒の間をするりするりと交わし抜けて、外へと出た。


後ろにいる生徒の軍団が駐輪場に押し寄せる前にと。

俺は紙袋が入った小さな鞄をそっと籠に乗せた。

重たいリュックはずっしりと背中にのしかかる。

素早くペダルに足をかけ、前へ前へと踏みつけた。

< 36 / 240 >

この作品をシェア

pagetop