あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
真実
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《キーンコーンカーンコーン…》
壁にかけられた時計から、設定された機械音が鳴った。
午後九時半を知らせるそれを聞き、生徒がゾロゾロと塾から去っていく。
今日は俺もその中に紛れ、混雑している生徒の間をするりするりと交わし抜けて、外へと出た。
後ろにいる生徒の軍団が駐輪場に押し寄せる前にと。
俺は紙袋が入った小さな鞄をそっと籠に乗せた。
重たいリュックはずっしりと背中にのしかかる。
素早くペダルに足をかけ、前へ前へと踏みつけた。