あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。

「翔琉、あと二十分くらいかかるけど時間大丈夫かぁ?」

ぼうっとしていた俺に向かって聞いてきた。


「あー……あ!!おっちゃん!俺今日、七時から塾やわ!」

「はぁ??七時まであと四十五分もあるぞ。それにお前、部活も入ってへんくせに、なんで帰んのこんな遅いねん」


めんどくさそうな顔をして、こちらを見てくるおっちゃん。


「ちょ…急いで頼む!!ここから家まで十五分かかんだよ!あと、前言ったやろ?俺の高校は学問の名門校って」

そう、俺の学校は公立高校のくせに超進学校だから一番上のコースは、日によって八時間目が存在する。

そこから終礼やら、なんやらを終わらせると学校を出るのは、大体午後六時頃になる。

「お前今日塾諦めろ。そこの塾やろ?そのまま行けや」

「ちょ、冗談ええから早くしてくれぇ!塾の教科書とか全部家やねん!」

「……ったく…」


真夏の暑い西日が顔に直撃し、汗が滴り落ちる中、素早く直してくれるのがおっちゃんのいいところ。


俺はお金を払い、直してもらった自転車を勢いよく漕いで家へと向かった。



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