あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
◇◇◇

私の本当の姿を初めて見て、やっぱり過去の人たちと同じ顔をした翔琉。

「…ほら。だから下りたくなかったのよ…」

やっぱり変わらなかった。
私の姿を受け入れてくれる人なんていないんだ。
義足だってこと、知らなかったでしょう。
義足って知って、拒絶したでしょう。
気持ち悪いって思うでしょう。

なのに…。
翔琉は私の腕を掴んで離さない。

離してよ。
どうせあなたも。
みんなと同じなんだから。

そう思うのに。
触れ合ったところから伝わる熱や、悲しそうな表情をする翔琉を見て、どうしようもなく涙がこみ上げてきた。

どうしてだろう。
こうなることなんて。わかりきっていたはずなのに。

───ああ。そうか。
私はどこかで期待していたんだ。
どこかで翔琉を信用していたんだ。

ほらみろ。
他人を信用なんてするから。
だから裏切られた時、こんなにも辛いんじゃない。

知っていたのに。
だから信用なんてしないって決めたのに…。

すると、目の前に小さな紙袋を差し出された。
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