あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
***

新学期が始まった。

腰ほどまである大きくて分厚いダウンと、手袋、マフラーをつけて、身重の母と共に学校へ行った。


肩に触れるか触れないかほどの短い髪。
マフラーで必死に寒さを凌ぐ。

先生に挨拶をしたところで、母は帰っていった。

「岸元光希歩ぢゃんね。先生ね、荒井冷衣子(アライ レイコ)って言うがら。よろしぐね」

そう言って微笑む優しそうなメガネのおばさん先生。

その先生の後ろについて、廊下を進む。

「人数そらほど多ぐねぇし、皆いい子らだがら、仲良ぐしてくれでね」

「あ…はい」

初めての福島弁で、私はあまり理解できないまま教室へと向かった。

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