あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
「はい、岸元光希歩ぢゃんねえ。皆、仲良ぐしでねえ。
何が、岸元さんに質問ある?
…って思ったげんとも、始業式さ行がねぇどね。ふふ。まだ後で自分だぢで聞いでみでね」
さあ廊下に並ぼう!という雰囲気で私は指示された席に急いで荷物を置いた後、廊下に出た。
仮の並び方として、二列ある人波の一番後ろにつく。
すると、ひとつ前のポニーテールをした女の子がくるりと振り向いてきた。
「岸元…光希歩ぢゃん?あだし、浜中 梓(ハマナカ アズサ)って言うんだ!これがらよろしぐね!」
いきなり話しかけられたことに驚きつつ、私も返事をした。
「うん!よろしくね!えっと…梓ちゃん?」
「皆がらはアズって言われでるよ」
「じゃあ、アズちゃんって呼ぶね!」
そう言うと、アズちゃんはキリッとした目を細めて笑った。
「うん!じゃあ、光希歩ぢゃんって……」
「キホぢゃんはー?」
突然、私とアズちゃんの間に割って入ってきたのは、左前に並んでいた男の子。