あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
「俺だけじゃん。カクっで。んだがら、光希歩ぢゃんはキホぢゃんにすっぺ!」
そう言う男の子は、私より少し背が低くて、髪は男子の割に長めでサラサラ。
目は切れ長で猫目だけれど、瞳が大きいため、それほど怖そうには見えない。
むしろ穏やかで人気者というイメージにあたる。
よく見る海外サッカーチームのティーシャツにウインドブレーカーを着ているせいもあるかもしれない。
「もー、カク!名前も言わねぇで、んなこど
言われだって、光希歩ぢゃん、わがらねぇだべ」
アズちゃんの方言がどんどんと濃くなる。
「あー!ごめん!俺、葛西 陸(カサイ リク)って言うんだ!一番上の文字と一番下の文字取って、カクっで呼ばれでる!」