あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
***

三月の十一日。

よく覚えている。
その日は、登校した直後、アズちゃんに即「誕生日おめでどう」と言われた。

「ありがとう」と返すとコソッと耳打ちをしてきた。

「帰り、今日は海に寄って帰るべ」

何故それを囁いてきたかは、当時の私には分からなかった。

ただ「いいよ」と。
そう返事をするのみだった。

私の誕生日だから海に行こうと言ってくれたのかな。
でも、今日は早めに帰ってきて誕生日会するからね、と。アズちゃんとカクと三人でそのまま帰ってきなさい、と母に言われたのに。

不思議に思いつつも、私は大好きな海に行けることを嬉しく感じていた。
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