あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
私たちはまだ三年生のため、六時間目は存在しなかった。
いつもと変わらぬ帰り道。
瓦の重そうな家々が連なり、植木も多く茂っていた。
都会とはまた違った綺麗な街並み。
今日は良い天気とはいえない。
重い雲の層が重なり合っている。
空気はまだ少し冷たく、肩より少し伸びた髪も、首筋から風が通り抜けるため、結局は肌寒い。
そんな帰り道も、仲良しのアズちゃんといれば自然と笑みがこぼれる。
暖かくなれる。
くだらない話でだって、笑い合える。
嬉しかった。
楽しかった。
幸せだった。
永遠に続くと思っていた。
こんな当たり前の日常。
たったちっぽけな幸せの繰り返し。
それだけで充分だった。
その時は気づいていなかったんだ。
このちっぽけな幸せの大切さを───。