あの日の帰り道、きっとずっと覚えてる。
何もなくなった。
大切なもの。
大事な場所。
もう二度と会えないんだ。
死ぬってそういうことなんだ。
どうして私だけ助かったの?
こんな姿になって、大事なもの全部失ってまで、生きたいなんて望まなかったのに!
私は意識を失う前のことを思い出した。
『たった一人、この世に残ったとしても。
私は生き抜いてみせる』
そんなの無理なんだ。
たった一人残ったところで、生きてなどいけないんだ。
自分だけ生き残った罪悪感に襲われ、いずれ必ずやってくる死を、虚しく待つのみなんだ。
「…でも、おばあちゃんは光希歩ちゃんと海光ちゃんが助かっただけでも嬉しいのよ。ありがとう、生きていてくれて」
ごめんなさい、おばあちゃん。
こんなことなら死んでもよかった。
私はいま、そう思っているの。
いえ、これから永遠にそう思うかもしれない。
泣きながら私は眠りについた。