【完】スノードロップ ~希望~
この思いを誰かにぶつけるのが怖かった。

周りに迷惑をかける。

どう足掻いても、逃れられない未来。

怖い。

それだけだった。

それから数時間、奏多の腕の中で泣き続けた。

声を上げて、今まで溜めていた思いを全て吐き出すかのように、たくさん泣いた。

泣き切ると、私の心は楽になった。

「……ごめんね、奏多。こんなこと言って。服……汚しちゃったね」

「いいよ」

奏多は私を離して、優しく微笑んでくれる。

「……私、決めた」

「?」

泣き続けている間、決めたことを奏多に話した。

「生きれるところまで、精一杯生きる」

少し切なそうな顔をしてから、奏多は言った。

「……じゃあ、約束」

そう言って、私に小指を出してきた。

「……うん!」

私も小指を出して、指切りをした。

精一杯、生きる。

後悔はしない。

だって、奏多と約束したから……。
< 85 / 97 >

この作品をシェア

pagetop