【完】スノードロップ ~希望~
「……実は……引っ越して……」

「え……」

どういう……こと?

菜々美の言葉を補うように悠真が言った。

「外国に引っ越したんだ」

「外国……って……なんで、そんな急に……」

「親の都合みたいだ」

「……」

急すぎる。

ずっと一緒にいられると思ったのに。

……でも、大人になったら、会いに行ったらいいよね。

いつかは会えるんだし。

一生、会えないわけじゃないんだから。

「ありがとう、教えてくれて」

「……うん」

こんな所で、立ち止まっていられない。

奏多と精一杯生きるって約束したんだもん。

「……」

「?菜々美?」

菜々美はさっきから、様子がおかしかった。

「う……ううん。何も……ないよ……」

……なんか、変。

この時の私は、まだ気づいてなかった。
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