恋にはならないわたしたち
「ウチの孫でええんか?見たとこアンタスラリとした別嬪さんで宝塚の男役さんみたいやし、千尋みたいな何考えてんのか分からん男よりええのがいっぱいおるやろ」
三池が隣で半笑いのような微妙な顔をしている。
「・・・腹黒で毒舌ですしね、わたし以外の女の子の前では無愛想かってくらい喋りませんし」
「すまんな、腹黒は家系かもしらん。ぼくは違うけどな」
「いえいえ、顔と学歴と身長は高レベルですから、性格の悪さをカバー出来るくらい」
三池の祖父がプッと吹き出した。
「兎に角ジジイ、これでええやろ。結婚の時期とかは仕事の様子見ながら決めるし。本人抜きで親父とかと勝手に見合いとか決めるなよ」
「分かった分かった」
「瑞穂、帰るぞ」
「は?いや、来たばっかり・・・」
「そうや、お茶でも飲んでいかんか」
「病院で茶とか辛気臭い。退院したらまた家に2人で顔出すわ」
結局ずっと離されることがなかった手を強引に引かれて病室を出る。
三池は何も喋らない。