恋にはならないわたしたち
そっと目をやった横顔は不機嫌そうだ。
駐車場に着いて車に乗り込んだ途端、はあっと三池が大きな息をついた。
「・・・病人騙すとかあんまり良くない」
「煩い、緊急避難や。そして病人とちゃうし」
「したらええやん、お見合いくらい。減るもんやなし」
ギロリと三池が瑞穂を睨む。
「お前が言うな」
「なんで?ここまで付き合ったのにそのくらいは言ってもええんちゃう?」
瑞穂だって胸が痛い。
とうに捨て去っていたはずの三池への想いが実はずっと自分の中で残り火のように燻っていたことに気が付いたから。
「オレのこと好きなくせに、お前が見合いしろとか言うな」