恋にはならないわたしたち
カテゴリーに分類されない女。
三池は自分が女子受けする容姿だと自覚がある。
勉強で苦労したことだってない。
母親の実家が名の知れた大企業の経営に携わる一族で、父親もその企業の重役なのでお金の苦労もしたことがない。
自分からは話したことがないそのことを高校、大学といつの間にかバレて、女の子が寄ってくる。
まるで自分が誘蛾灯になった気分だ。
学生時代にはそんな見てくれや金に寄ってくる女の子たちに喧嘩上等とばかりに毒舌を浴びせていた。
何度も泣いて詰られた。
そのうち面倒臭くなって話すことさえしなくなると、『無愛想』というレッテルを貼られた。
嬉しくはなかったけれど、寄ってくる女の子も減ってそれで随分楽になった。
瑞穂と話すようになったのは、入行1年目、同期の懇親会という名目でバーベキューに行ったときだったか。
まだ知り合って日が浅く、『無愛想な三池くん』が定着していなくて入れ代わり立ち代わり女の子が纒わり付く。
幾人かの女の子が競うように肉を勧めてくるのにウンザリし、いつも以上に口数が少なくなっていた。