恋にはならないわたしたち
漸くバーベキューが終わり、帰るためにみんなで駅までゾロゾロと移動する。
その途中で自分の体調の異変に気付いた。
こみ上げてくる吐き気に我慢出来ず、近くにいたヤツにちょっとここで抜けるから先に帰ってと言い、トイレに走る。
ツイてない。
胃の中が空っぽになるまで吐き、ふらつく体を叱咤しながらトイレから出る。
「大丈夫?三池くん」
舌打ちをしそうになった。
そっとわからぬように抜けたつもりだったのに親切ごかしの女の子が残っていたのか。
「・・・真木だっけ?」
ふうっと大きな息と共に問いかけるとニコッと笑顔を見せ、ミネラルウォーターとウェットティッシュを差し出してきた。
「女の子たちから次々にお皿にお肉入れられてたし、ちょっと心配してた。生焼けやったらアタルんちゃうかなって」
「・・・・・・そらどうも」
貰った水のペットボトルを力の入らない指でなんとか開けて少し口にして、傍らにあったベンチにドスンと座る。
「病院行こか、救急病院がすぐそこにあるって駅員さんが。わたし車で来てるし」
女の子は煩わしいけれど、車は魅力的な誘いだ。素直に頼むと言えば真木に了解と腕を取られた。