恋にはならないわたしたち
けれど誰一人、色良い返事を貰ったとは聞いていない。
瑞穂も1度だけ何かの飲み会のときに、三池が言い寄られているのをたまたま見かけたことがある。
「オレ、アナタの名前も知らないし、確か話したこともないよね?それでオレの何が好きで、どこが気に入って付き合いたいとか思うわけ?顔が好きなら勝手に写真でも撮って眺めてたら?悪いけどアナタに何の興味もない」
そう言うとさっさと身を翻して去って行く。
キッツーーーーーーー。
あんなこと言われたら泣きそう。
とんでもなく理想が高いか、女嫌いかーーー。
銀行内では知らぬ間に「三池千尋は観賞用」「綺麗な花には棘がある」と囁かれるようになった。
勿論、瑞穂も『ええとこのぼん』という付加価値までついた三池に、友達のラインを決して割らないように「女子の中では割と喋れる同期」というポジションにいることを心掛けるようにしたのだった。