恋にはならないわたしたち
何か答えないとーーと思って口を開こうとした途端、向かいに座る三池の手が伸びてきて瑞穂の頭をぐしゃぐしゃとかき回す。
何の言葉もなく。
撫でるというには少し乱暴な手付きで。
あ、これは慰められてると瑞穂が思えるくらいには優しい表情で。
これは危険。
心の柔らかな部分に簡単に踏み込まれる。
普段、女子に取り合わない三池の静かな優しさ。
ほんの少しの好意が、この日からやがて恋になるのはそんなに時間はかからなかった。