恋にはならないわたしたち
涌井の三池に向ける目が一瞬鋭くなった。
「酔ってるみたいなんで引き取ります。後はコイツいなくても上手いことできますよね?」
「・・・できるけど、瑞穂ちゃんの面倒なら僕が最後まで見ますよ?」
そういって瑞穂に手を伸ばそうとする涌井から隠すように身体の向きを変えてそれを遮った。
三池が勝ち誇ったように、少し小馬鹿にするような笑顔を浮かべる。
「大丈夫です。コイツ、オレのなんで」
呆気に取られた風の涌井を置き去りにし、瑞穂を抱きかかえて店の前でタクシーに乗り、自分の家に向かう。
自覚する。
瑞穂を誰にも触れさせたくないと思う気持ちを。
自宅に連れ帰った瑞穂をそっとベッドに横たえると、虚ろな瞳が薄らと開かれた。
「・・・・・・みい、け?」
じっと熱を込めて瑞穂を見つめる。
ふふぅっと瑞穂が笑い、三池の頬に細く長い指先を伸ばしてそっと触れた。
「すき・・・」
蕩けそうな表情と、掠れた声で小さく呟かれた言葉が三池の理性を簡単に焼き切る。