恋にはならないわたしたち
「・・・お前、この状況でそんな無防備で覚悟できてるんやろな?」
恐らく酔っぱらって夢心地の瑞穂に正常な判断能力なんてない。
それが分かっていて手を出そうとしている自分は最低で最悪だ。
「みいけぇーーー」
瑞穂が甘えるように両腕を伸ばして三池の首に回した。
それが合図。
噛み付くように瑞穂の唇を塞ぎ、時間をかけて、まるで何日も食事を取っていない獣のように瑞穂を貪り尽くした。
◇◆◇◆
「明日仕事なんやけど」
「オレもだ」
「もう家に帰りたいんやけど、なんでまた三池の家?」
「色々、擦り合わせがあるやろ」
瑞穂は病院を後にしてから再び三池の家に連れ込まれていた。
3人は余裕で座れそうなアースカラーのソファーの端と端に座る。
「話があるなら早くして。帰りたいし」
「今日も泊まったらええ」
「は?無理。明日の出勤服もないし」
すくっと三池が立ち上がり、さっき立ち寄ったセレクトショップの紙袋を部屋の隅から取りすっと目の前に差し出した。