恋にはならないわたしたち
バチンッ!!!
気が付けば渾身の力を込めて三池の頬を平手打ちしていた。
「・・・・・・っつ」
三池の左頬がうっすらと赤くなる。
「好きやったわよ!好きやけど三池の色んなものに釣り合わへんしと思って諦めたんやない!わたしのことタダの友達としか思ってないくせにアンタの都合でいいように利用すんな!わたしの恋心をバカにすんな!!」
怒鳴ったせいか、酸欠で頭がクラクラする。
目の前の綺麗な顔が瑞穂の瞳に張った水の膜の向こうで歪んだ。
頬を伝い、やがて顎先からぽたぽたと滑り落ちる涙が、ワンピースを掴む瑞穂の手の甲に落ちる。
「・・・何が釣り合わへんて?」
親指で瑞穂の目の下を三池が拭った。
「言うてみろ」
瑞穂がイヤイヤをするように頭を振り、三池の指から逃れようとする。
「真木」
ソファーから立ち上がろうとする瑞穂の両腕を三池の両手で掴まれて阻まれる。
「言え、瑞穂!」
真っ直ぐに瑞穂の顔を見詰める三池から、逸らせたいのに目が逸らせない。