恋にはならないわたしたち
「涌井に会うの禁止やから」
「なんで?涌井くん、いい人やよ?」
「わかり易くいい人なんて下心有りに決まってるやろ。アホか、お前は」
言葉は悪いのに抱き込まれた三池の腕の中は温かい。
瑞穂限定の甘さ。
想いは届かない、双方向の恋にはならない、身分不相応な相手だと思っていた。
三池の腕の中で顔を上げると見たことがないような熱のこもった視線にぶつかる。
「三池、大好き」
瑞穂はずっと言えなかった言葉をやっと口にして、満足してまた、瑞穂だけの場所になったその場所に顔を埋めた。