恋にはならないわたしたち


「ああ、二次会の新郎側の幹事。大学時代の友達って言うてたよ」


椅子に座りながら答える。


「勤務先は?」


「ん?なんか商社やったかな」


「おーっ、商社マン!」


ロックオンされてしまったかも?

まあ、彼女はいないって言ってたし、女の子と知り合う機会は多い方が良いだろう。友達の結婚式の二次会なんて狩りするにはうってつけだし。


「・・・瑞穂ちゃんねぇ」


隣の三池がポツリと呟いた。


「久々に新鮮な感じ。小学生以来の呼び方」


カラカラと瑞穂が笑う。


三池は無言でグラスのビールをあおった。


言い返してこないなんて変なの。
でもまあ、元からそんな口数多くないしなと瑞穂は気にもしなかった。



披露宴が終わった後、ホテル近くのカジュアルなフレンチレストランが二次会の会場だった。涌井くんと司会をしてくれる男性と簡単に打ち合わせた後、レストランに移動する。


会場を押さえて、参加人数を確認して、会費を集めて、余興のビンゴゲームの商品の用意をして。


司会の男性は地方局のアナウンサーらしく、上手に主役の2人を弄って盛り上げてくれていた。
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