冷たい君の不器用な仮面
距離のとり方
***
「おはよー!」
「おっはー」
明るい日差しが差し込む教室に、元気のいい挨拶が飛び交う。
私はそんな様子をただぼうっと眺めながら、今日はレイのお見舞いに行ってみようかな、なんて考える。
___あれから3日。
レイはあの事件が起きた日のうちに、病室で目を覚ました。
目覚めた瞬間、レイは無理やり帰ろうとしたらしいけど、付き添っていたマスターのおかげで何とか病院にとどめることが出来たらしい。
今は傷が癒えるまで、と入院中。
私はというと、あの日、疲れのせいかあの場でいきなり寝てしまい、ユウに家まで送り届けて貰った。
……誠に申し訳なかったです、はい。
……だから、私はあの日から1度もレイの顔を見ていない。
この3日間、レイのことが気になって気になって仕方なかったのだ。
___まあ、そのおかげで
「おいおい、涼那!また目の下にクマ出来てんぞ?」
……こうして隣の席の幼馴染に、心配をかけている。