私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
部屋まで戻っても変わらない光景。琴音はベッドの上で静かに眠ったままだ。
ベッドサイドの棚に持って来たものを下ろし、琴音の頭を撫でる。
「寒くないか」
「…」
「顔拭くからな」
声をかけるのはもう癖だ。
持って来たお湯にタオルを浸して絞る。顔を拭いてやりながら、すっかり手慣れてしまったことに苦笑いするしかない。
ついでに手足まで拭き終えて、オムツの交換まで済ませたところで、点滴の棒のようなところに下がったチューブたちを引き寄せる。
点滴だけではもたないと容体が安定してから胃ろうになった。毎日来ていた医者は徐々に来なくなり、今では定期的な診察に来るだけ。
それだけ、琴音の世話にかかる時間も長くなり、だんだんと手慣れていくそれらに寂しさを感じるのは仕方なかった。