私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「どうする、琴葉ちゃん」

「ッ」

「乗るか、乗らないか」

……拒否権は、ない。

この声音は、私の意思なんか聞いてない。ここで乗らないと言っても、源之助さんは必ず動く。

なら、自分の意思で、進め。

「琴音、やめろ」

開きかけた口は、伸びてきた手に塞がれる。

季龍さんはまっすぐに源之助さんを睨む。

その目は、父親を、組のトップを見つめる目じゃない。

「琴音をこれ以上巻き込みたくねぇ。巻き込むべきじゃねぇだろ」

「…」

「もしまた、こいつが傷ついたら、次はねぇかもしれねぇ。もう、あんな目にこいつを会わせたくない。だから、琴音を…」

「季龍、黙れ」

空気が凍りつく。

拒絶を意味するそれは、季龍さんの意見なんか通らないということ。

…知らない。こんな源之助さんを。…源之助さんをここまでさせる華江様は、いったい何者なの…?
< 102 / 407 >

この作品をシェア

pagetop