私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「どうする、琴葉ちゃん」
「ッ」
「乗るか、乗らないか」
……拒否権は、ない。
この声音は、私の意思なんか聞いてない。ここで乗らないと言っても、源之助さんは必ず動く。
なら、自分の意思で、進め。
「琴音、やめろ」
開きかけた口は、伸びてきた手に塞がれる。
季龍さんはまっすぐに源之助さんを睨む。
その目は、父親を、組のトップを見つめる目じゃない。
「琴音をこれ以上巻き込みたくねぇ。巻き込むべきじゃねぇだろ」
「…」
「もしまた、こいつが傷ついたら、次はねぇかもしれねぇ。もう、あんな目にこいつを会わせたくない。だから、琴音を…」
「季龍、黙れ」
空気が凍りつく。
拒絶を意味するそれは、季龍さんの意見なんか通らないということ。
…知らない。こんな源之助さんを。…源之助さんをここまでさせる華江様は、いったい何者なの…?