私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「交渉成立だね」
「…」
源之助さんは笑う。いつもの、優しい顔だった。
軽く腕を上げた源之助さんに、平沢さんは季龍さんの腕を離す。
すとんと少しだけ上がっていた腰が落ちるように座り込んでしまう。
「琴葉ちゃん。君の記憶が全てを終わらせるキーだ。必ず、思い出すんだよ」
「…はい」
あの、記憶が全てを終わらせる…?
本当に?あの記憶に、何を終わらせるほどの価値があるの?
それは、終わらせていいものなの?
分からない。でも、もう立ち止まれない。
立ち止まれないなら、進む以外に道がないのなら、進め。どんな未来が待っていても…。