私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
支える手
ぼんやりと縁側に座りながら月を見上げる。
冬だからかな?空気が澄んで、月がきれいに見える。
…昼間、源之助さんの部屋を出てから季龍さんはどこかに行ってしまった。信洋さんや平沢さんは気にするなって言ってたけど……。
今回のこと、多分季龍さんの知らないところで動いてる。源之助さんの独断?…それとも、なにか別の目的があるの?
「ミー」
子猫…確か……。
「トラ」
「ミー」
呼んでみると鳴いて縁側に飛び乗ってくる。手を伸ばすと、手にすり寄ってきた。
「何してる」
背中越しにかけられた声に肩が揺れる。…季龍さん、いつの間にそこに?
お風呂上がりなのか、ジャージ姿の季龍さに睨まれて思わず視線をそらす。
「あ」
「ミー」
季龍さんに驚いたのか、恐れたのかトラは逃げていってしまう。置いていかないで…。
そんなことを願っても戻ってこないのは当たり前で、逃げることも出来ない私はただひたすらに、季龍さんからの睨みをかわすように視線をそらすしかない。