私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
源之助さんは詳しい説明をしなかったけど、田部さんの言葉が全てなような気がした。
…暗にそれは、“宮内 琴葉”を知る者がいる可能性が高いということ。
“宮内 琴葉”として、対峙してはいけない人がいるということ。
警備員のいる扉の前で足を止めた田部さんは、笑みを浮かべて頭を下げる。
「いってらっしゃいませ。お嬢様」
警備員たちがドアを開ける。
ドアの向こうから見える光景に手を握り合ったけど、その手はすぐに大きな手に包まれる。
「琴音、離れるなよ」
「…はい」
この先に何があったとしても、この道の先以外に行く宛はない。
この人と一緒なら、きっとどんな未来も歩いていける。
1歩前に踏み出す。肩を支える手のぬくもりに支えられ、ドアの向こう側に踏み出した。