私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「…ふわ、ちゃん?」
「ッ…やっぱり、ことちゃん!!」
両手を広げてきたふわちゃんを思わず受け止める。
メイクをしているのにも関わらず涙を流すふわちゃんに、何て声をかけたらいいのか分からなかった。
「よかった…死んじゃったのかと思った……」
「…心配かけてごめんね」
…まさか、ふわちゃんまでここにいたなんて。
ううん、ふわちゃんだけじゃない。遠目に見ている群衆のなかに香蘭学園にいたクラスメイトたちが、ほとんどいる。
ここは日本を動かす会社の人たちが集まる会場、彼らはその立場にいる。
…と言うことは、彼もここに?
「琴葉、なのか」
聞こえた声に体が硬直するのが分かる。
勝手に震え出した手は汗ばんできてひどく気持ちが悪い。
『琴葉…琴葉』
『っう…あ』
声が、頭に響く。感覚が体を支配する。
もう、過去のことだと思ってた。もう、私は平気だって思ってた。
でも、全然そうじゃ、なかった…。