私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
聞こえてきた声に、好奇心で少しだけ顔を出す。
大きな画面の前には、当時の旦那様と見たことがなかった男の人がいて、よく分からない難しい話をしていた。
『んー?』
『ことはちゃーん?どこ行ったのかしら…ことはちゃーん?』
『あ、おばあさまぁ!』
『ッ!?なんだ!』
『ふえ?』
かくれんぼをしていたことも忘れて、おばあ様の声に隠れていた机から顔を出した。
…その時、見たのは……。
『え?』
床に広がっていたのは赤いもの。ピクリとも動かないそれは、明らかにおかしくて。
『ッう、ふぇええええん!!!』
訳もわからず泣いた。
怖くて、分からなくて、泣いて、泣いて…。
ただ泣き続けることしか出来なかった。
『…殺せ』
『あー、はいはい』
目の前が陰って、顔をあげたとき向けられていたのは銃口。
でも、それを私はまだ分からなくて、ただ呆然とそれを見つめることしかできなかった。