私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

聞こえてきた声に、好奇心で少しだけ顔を出す。

大きな画面の前には、当時の旦那様と見たことがなかった男の人がいて、よく分からない難しい話をしていた。

『んー?』

『ことはちゃーん?どこ行ったのかしら…ことはちゃーん?』

『あ、おばあさまぁ!』

『ッ!?なんだ!』

『ふえ?』

かくれんぼをしていたことも忘れて、おばあ様の声に隠れていた机から顔を出した。

…その時、見たのは……。

『え?』

床に広がっていたのは赤いもの。ピクリとも動かないそれは、明らかにおかしくて。

『ッう、ふぇええええん!!!』

訳もわからず泣いた。

怖くて、分からなくて、泣いて、泣いて…。

ただ泣き続けることしか出来なかった。

『…殺せ』

『あー、はいはい』

目の前が陰って、顔をあげたとき向けられていたのは銃口。

でも、それを私はまだ分からなくて、ただ呆然とそれを見つめることしかできなかった。
< 125 / 407 >

この作品をシェア

pagetop