私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

『動かないでね。痛いの嫌でしょ?』

子どもを撃つことにすら躊躇しないその人が、あまりにも自然に微笑んだのを見た瞬間だった。

『ッ琴葉!!』

『っな!?』

大好きな声と、驚きに包まれた声。そして、破裂音…。

何が起きたのか、理解はついていかなくて。気付いたときにはおばあ様は階段下で倒れていて、怒鳴り声が響き渡っていて…。

おばあ様が伸ばした手に引き寄せられるように近づいて、気付いたらその手を掴んでいた。

『こと、は……にげ、…』

―パスワードの更新を行います

『なんだと!?』

『…こと、は……』

―パスワードはコトハに設定されました

―なお、このパスワードは今後変更できません

音が重なる。

音で溢れかえった世界は歪んで、回って、形をなさなくなっていく。
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