私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

田部さんの話は続いた。

あの部屋から逃げ出したあとのことも。


あの部屋から逃げ出した田部さんは、迷ったらしい。このまま私を連れて逃げるべきか、私を親を託すか…。

でも、私のお母さんのことを思うと、連れていけなくなったと。

『ッ琴葉!?』

『逃げるんだ。この家から、いやこの町から、早く逃げるんだ!!』

『何があったんですか!?大奥様は!?』

『…すまない』

多くは語れなかったと言っていた。それを、今ものすごく後悔しているとも。

田部さんはお母さんに私を託して、逃げ出した。あの家から、あの町から、逃げて、逃げて、逃げて、逃げて………。

ある日、拳銃を向けられた。

逃げ切れなかったのだと悟った田部さんは覚悟を決めた。
< 134 / 407 >

この作品をシェア

pagetop