私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
田部さんの話は続いた。
あの部屋から逃げ出したあとのことも。
あの部屋から逃げ出した田部さんは、迷ったらしい。このまま私を連れて逃げるべきか、私を親を託すか…。
でも、私のお母さんのことを思うと、連れていけなくなったと。
『ッ琴葉!?』
『逃げるんだ。この家から、いやこの町から、早く逃げるんだ!!』
『何があったんですか!?大奥様は!?』
『…すまない』
多くは語れなかったと言っていた。それを、今ものすごく後悔しているとも。
田部さんはお母さんに私を託して、逃げ出した。あの家から、あの町から、逃げて、逃げて、逃げて、逃げて………。
ある日、拳銃を向けられた。
逃げ切れなかったのだと悟った田部さんは覚悟を決めた。