私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
『華江を殺したのはお前か』
『ッ!?違います!華江様は、旦那様が雇った男に…』
とっさに問いかけられた言葉に反論する。
それでも、目の前の男の目は揺らぎなく田部さんを見つめていた。その目はあまりにも静かでだからこそ恐怖を感じずにはいられなかった。
『それを証明することは出来るのか?』
『…あり、ます』
『ならそれを話せ。わしは永塚源之助だ』
それが、源之助さんのと出逢い。
田部さんはそこで初めて、自分がおばあ様殺害の犯人として指名手配されていることを知った。
更に、私のお母さんが殺されたことも…。
『ッ待ってください、お母さんは過労死で…』
田部さんの一言に咄嗟に反論する。
お母さんは殺されたんじゃない。過労で亡くなった……はず。でも、田部さんは首を横に振る。
『殺されたんですよ。琴葉さんの命を守るために、自らを犠牲にしたと聞いています』
『…』
全く記憶は蘇らなかった。お母さんの最期は覚えているのに、殺されたなんて、信じられない。
お母さんは、私のせいで…?
困惑したまま、田部さんの話を聞き続ける。
それからは源之助さんの元で働きながら、自身の潔白を証明するために動いてそうだ。
ある意味、源之助さんには命を常に狙われていることになるとも承知の上で…。