私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「…でも、ことねぇのお母さんは、ことねぇのこと」

「うん、分かってるよ。…でも、私が……」

考えてしまう。私さえ、あの部屋に入らなければこんなことになっていなかったかもしれない。

私、さえ…。

「自分のせいにするの、簡単だよね」

「え?」

梨々香ちゃんの言葉に耳を疑う。

「ぜーんぶ自分のせいだって、そう思ったら楽だよね」

「梨々香、ちゃん?」

「私がいなければ、お兄ちゃんはこんなに苦労せずに済んだ。私がいなければ、お父さんは2度も間違いを犯さなかった。…そうやって思ったら、楽だった。私がいなくなったら、誰も不幸にならいないでよかったんだって。そうやって思ったら、全部私のせいに出来たら、私がいなくなったら、こんなことにならなかったって、誰かのせいにするの怖くて、誰かを恨むの、止めれなくなりそうだから」

「…」

…そうだ、怖い。誰かのせいにするのは簡単。自分のせいにするのも簡単。

でも、どちらかの簡単を選ぶなら、私は自分のせいにする。

だって、そうすれば許せない誰かを恨むきつい心を抱えなくていいから。誰かを憎む汚ない自分を見つめなくていいから。

私は、私を大事に出来ない人だ…。
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