私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
琴音の手首を掴んで引き寄せる。
あっさり腕の中に入ってきた琴音を肩にかけられた毛布で包む。
「お前の方が湯冷めすんだろ」
「…お風呂入ったので大丈夫です」
「だから湯冷めって言ってんだろ」
琴音は首を傾げ、へにゃっと音がつくような笑みを浮かべる。
そんな顔にさっきまでのイラつきが静まっていくのが分かる。毒気が抜かれていくような感覚に、心が安らいでいくようだった。
「季龍さん、甘酒飲みます?」
「甘酒?」
「作ったんですよ。平沢さんに全部飲まれちゃいます」
「おっさん連中が好きそうだな」
離れていこうとする琴音の背に腕を回す。キョトンとした顔を向けられたが、素直に体を預けてくる。
いなくならないと言われているようで、少しだけ気恥ずかしい…。