私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
…こんな奴を傷つけようとする奴らがいる。
それを思い出しただけで奴らを殺したくなる。琴音を傷つける奴を、傷つけた奴を…。
「季龍、さん?」
「…琴音、言え」
「何をですか?」
「…お前を傷つける奴を、全員消してくれと」
スッと、琴音の顔から表情が抜ける。
一度うつむいたあと、顔をあげた琴音は笑みを浮かべていた。
「言えません」
「…」
「言いたくないです」
困ったように目尻を下げる琴音に呆気に取られていたが、我に返った途端沸いたのは怒りだった。
琴音の両肩を持ち、視線を重ねる。それでも、動揺を見せないその目に焦りさえ浮かぶ。
「お前を殺そうとしてる奴らだぞ!そんな奴らにまでどうして!!」
「違います」
「違わねぇだろ!偽善か?そんなもんなら…」
「違います!!」
琴音から出た大声に、言葉が詰まる。
その間にも違うと繰り返す琴音は、俺の手を両手で包むと、大事そうに抱き寄せられた。