私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
心臓が音を立てる。痛かったはずの鼓動がどこか心地よく感じる。
その鼓動に耳を傾け、目を閉じる。温かくて、少しだけ苦しい。
そのまま落ちようとした意識は、不意に開け放たれた襖に引き戻される。
「…暁、くん?」
襖を開けたのは、暁くんだった。ただ、その目は淡々としていて、感情を映していなかった。
手を伸ばそうとした時、暁くんが右手に持つ物に目を奪われる。
…ハサミ?
「どうし…」
「わりぃ」
「え?」
大きく開かれたハサミがまっすぐに向けられた。
―バチン…