私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「大旦那様。お客様がご到着されました」

「分かった」

ついにその時が来た。

正裕は緊張で喉を鳴らし、固く拳を握りしめる。そんな孫の様子など見てもいない総一郎が、急ぎ足で玄関へ向かう。

その姿は、欲していたものを手に入れたような好奇心さえ見えた。

「これはこれはよくおいでになった」

上機嫌な声で総一郎が出迎えるのは、6人の客人。

車いすに乗った老人と、スーツを着た男が3人と、スーツ姿の黒髪の女が1人。そして、ワンピースを着た、白い髪の少女が1人。

女性の2人とも、肩にかからないほどの髪の長さだった。

正裕は、スーツ姿の男の中に見覚えのある顔を見つける。あの時、琴葉の隣にいた男だ。

鋭い視線を受けたように感じ、たまらず視線をそらした正裕に対して、総一郎は堂々と向き合い、彼らの先頭に立つ源之助に向かう。
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