私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「行きましょうか。丁度、薔薇が見頃です」
「…はい」
琴音から視線を外し、庭に向かって歩き出した正裕は、2人が着いてくるのを確認して歩みを進める。
庭に出たところで冬であることを思い出したが、琴音の肩にかけられたコートを見てそっと息をつく。
「こっちです」
「…」
黙ってついてくる琴音を見ないまま歩き続ける正裕は、咲き誇る薔薇の前でようやく足を止める。
「うちの庭師が手入れしてるんです。前はもっと、咲いていたんですけどね」
「…そうなんですか」
反応の鈍い琴音は、薔薇を見る目はぼんやりとしている。まるで興味ないと言わんばかりの反応だ。