私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
季龍さんたちと離れ、屋敷の客間に通される。そこで待っていた使用人を外に出した正裕は困惑したように私を見た。
「…止めても行くんだろう」
「うん」
「…地下だよ。この部屋を右に出て、突き当りのドアに階段がある。そのドアはお爺様が人の出入りを最も嫌う。…きっと、琴葉が求めるものもそこにある」
正裕に私を止める意思はない。それはもう分かっていること。
…罪滅ぼしのつもり、なんだろうな。
少しだけ苦笑いが浮かぶ。
きっと、彼が1番の被害者なんだ。それでも、私は彼の罪悪感を利用する。
彼が今の生活を手放してしまうとしても…。
彼に背を向ける。時間がない。動かなきゃ…。