私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

やっぱり、罠。

ポケットに入れたままの左手で信洋さんに渡されたスマホを握る。

2回、連続で電源ボタンを押す。分かってる。…でも、必要ない。

「どうしたぁ?怖くて動けなく…」

発砲音。

男の言葉は途切れ、後頭部に突き付けられていた銃口が離れてすぐ、何かが倒れた音がした。

「暁、くん」

「っはぁ、っはぁ…」

拳銃を握った暁くんは、震えているようにも見えた。

前回まで、私がしていた変装をした暁くんだ。

そう、前回までは私は、私“琴音”に変装した梨々香ちゃんの使用人として来ていた。

もちろん、正裕は初めから私たちの正体には気づいていたけど、それを問い詰めることも何もしなかった。
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