私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「…知ってる。でも、だからこそ、止めたの」

「は?…止めた?お前が?」

「…」

分かってる。これはただの傲慢だ。人の決意を私の勝手でへし折った。

こんなの、優しさでも何でもない。

襟首を掴まれる。暁くんの睨みを一身に受けても、その目から逃げずに視線を合わせ続けた。

「またお得意の自己犠牲か?ふざけんなよ!!お前が傷つくことが、俺たちにどんだけ苦痛を与えてんのか、分かってねぇだろ!!…いい加減にしろよ」

暁くんの手が離れたとほぼ同時に、ピコンッと音が鳴る。

画面を見れば、コピー完了の文字が映し出されていた。

暁くんが無言でUSBを引き抜く。そのまま出口へ向かっていく暁くんにかける言葉を見つけられないまま、地上に続くドアが開けられる。

ただの義務でそのドアを開けて私を待ち続ける暁くんに、心が痛んだのを押し込める。

…これでいいんだ。これで…。
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