私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
望む人
「さーてと。開けていきますか」
パソコンの前で軽く準備体操をする信洋さんは、楽しそうに口角をあげたまま。
そんな様子を見ている私と季龍さんだけ。
いつか見た青い画面。この画面の先に源之助さんが求める情報がある…。
「ここちゃん。パスワードはことはで間違いないんだね」
「はい。確かにそう聞きました」
「よし」
信洋さんはパソコンの前に座り、キーボードに手を添える。
あっという間に“ことは”と打ち込まれた画面。そして、エンターキーが押された瞬間、響いたのはエラー音だ。
「え?」
「驚くことじゃないよ。ここちゃんは確かにパスワードを聞いた。でも、見てはないでしょ?だから“ことは”がどんな文字で入力されてるのかは分からない」
「そういうものですか?」
「当然。まぁ、想定してたから。手当たり次第に打ってくね」
そう、不敵に微笑んだ信洋さんの目の色が変わった。