私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
やっぱり、このパスワードは音声入力でも成立する。
「音声入力とはね…。そりゃ打っても無駄なわけだ」
「琴音、なんで気が付いた」
「あの時、パスワードの変更が行われたとき、誰もパソコンに触れていなかったんです。だから、声なんじゃないかって…」
でも、どうして?音声入力で確かに“ことは”と入れたはずなのに、ロックは解除されない。言い方なのかな。それとも、何か別の…。
「まずいな…」
「何がだ」
「この音声入力、人の声を識別できるんだよ」
「あ?それがどういう…」
途中まで言いかけた季龍さんも、気づいたように舌打ちする。
人の声を識別できるということは、このパスワードを開けるのはおばあ様の声だけ。でも、そのおばあ様はもう、亡くなっている。
つまり、このロックは開けない。