私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

「うかつだった。こんな機密情報なのに、警備が薄かったのは、俺たちに開ける手段がないことを奴らは分かっていたから。だから、最悪盗み出されてもいいってことかよ」

「声を変えるソフトなんてどうとでもあるだろ。それで声を作ればいい」

「陣之内華江の声を知ってるのは、頭と田部さん、ここちゃんだけだ。似せる声は作れたとしても、完璧に作ることなんかまず不可能。それに、記憶だけが頼りの声が、似てる声を何度も聞かされればその記憶だってあいまいになる」

「なら、どうすんだ!婚約会見まで、あと5日もないんだぞ!」

季龍さんの焦りも、信洋さんの苛立ちも膨れ上がっていく。

音声データがあったとしても、それがどこにあるかなんてわからない。それに、それがあったとしても、取りに行けるチャンスはもうない。

どうする。どうすれば…。
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