私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
季龍さんの手に触れる。少しだけ向けられた季龍さんの視線に、出来る限りの笑顔を向けた。
「…ごめんなさい」
季龍さんの手を掴み、肩から滑らせる。
呆然としたような顔をする季龍さんを見ていられず、思わずうつむいてしまう。
それでも、季龍さんの手が伸びる前に側から離れ、田部さんに歩み寄った。
「あ……奏多さん、どこにいますか」
「…」
田部さんの表情に、これでいいのか、本当にいいのかと書かれているような気がするくらい、田部さんの言いたいことが突き刺さってくる。
何とか向けた笑みは、悲痛な表情を田部さんに浮かばせることしか出来なかった。