私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)

奏太さんだって困惑してる。

聞かされていないことに、自分だけが茅の外にいるんじゃないかって、不安になって、自信すら薄れてきて…。

『琴葉さん、手間はかけるだろうが、わしの家族を頼んだよ』

源之助さんに始めに言われた。

永塚組は家族なんだって、誰もが自信を持ってその言葉を口にしていたのに。

今では、その言葉が本当だったのかさえ疑いたくなってしまう。

源之助さん、あなたの家族はそんなに頼りなかったんですか…?

「とにかく時間がない。お姫様、ドレスに着替えてきて」

奏太さんから箱ごと差し出されたドレスを受け取って、空いている部屋で着替えを済ませる。

着替えた姿はまるで人形にしか見えなくて、自分が人形劇に出されるような気分になった。
< 188 / 407 >

この作品をシェア

pagetop