私のご主人様Ⅴ(SS?投稿しました)
「っと、いけねぇ。そろそろ行くぞ」
平沢さんの声に、場の空気が引き締まる。
奏多さんに手を引かれ、外に出ると当たり前のように高級車が待ち構えていて、少しだけ緊張してきた。
「お姫様待った!!!」
車に乗り込もうとしたとき、家の中から飛び出してきた奏太さんは、私の左手に何かを握らせた。
「王子様から伝言。待ってろ、だってさ」
「え?」
「いってらっしゃい。負けちゃダメだからね」
奏太さんに背を押され、車に乗り込む。
両側に奏多さん、暁くんが乗り込むと車はすぐに走り出した。手を振って見送ってくれた奏太さんの姿が見えなくなるまで手を振り返し、前を向く。